京都食ビジネスプラットフォーム 輸出部会 研修会|植物性の技術を活用した食品の海外輸出
京都食ビジネスプラットフォームとZET-BASE KYOTOの共創イベントとして、あたらしい「食」の境界線をテーマにした研修会「植物性の技術を活用した食品の海外輸出」を2025年11月20日(木)に実施しました。

講師
齋藤 努 氏
(不二製油株式会社
風味基材事業部 部長)
1995年入社。中央研究所にて大豆たん白の新素材開発に従事。2015年より「おいしさ」に関する研究を主導し、2021年に技術ブランドMIRACORE®を立ち上げ。2024年より現職。技術を社会実装する事業展開に取り組む。
https://www.fujioil.co.jp/
MIRACORE®とは?
MIRACORE®(ミラコア)とは、不二製油株式会社が開発した植物性原料を使って動物性食品特有の「満足感」を再現する技術ブランド。
MIRACORE®の技術を活用した製品としてMIRA-Dashi®(ミラダシ)があり、植物性のチキンタイプ・ビーフタイプ・カツオタイプなどの風味素材(だし)のラインナップが展開されている。
MIRACORE®公式サイト|不二製油MIRACORE(ミラコア)は満足感に植物性から向き合う技術。不二製油の油脂とたん白の技術を融合させて、植物性食品の「ちょwww.miracore.jp
第一部 ~植物性MIRA-Dashi®と輸出食品への活用~
第一部では、不二製油株式会社が開発した技術「MIRACORE®」を活用した製品「MIRA-Dashi®」について、その特長や輸出食品への活用事例が紹介されました。

農林水産省は、2030年までに農林水産物・食品の輸出額を5兆円に拡大する目標を掲げており、そのうち加工食品は約40%にあたる2兆円を目指す
(参考資料:https://www.maff.go.jp/j/shokusan/sanki/soumu/attach/pdf/bunkakai-150.pdf)
とされています。一方で、カップラーメンや蕎麦、カレーなど、日本の加工食品にはスープやだしに動物性原料が使用されているものが多く、輸出時に規制を受けやすいという課題があります。
例えばアメリカ向けの場合、カップ麺など肉エキス入りの食品はそのまま輸出できず、動物性原料を除去する必要があります。またEU諸国では、動物性食品と植物性食品が混在するものを「混合食品」として厳しく規制しています。例えば、大豆が原料である納豆は単品では輸出可能である一方、付属のタレにカツオだしが含まれているため、セットでの輸出ができないケースがあります。

MIRACORE®の技術で作られたMIRA-Dashi®は、動物性素材を使用していないため、各国の輸出規制を回避できる点が大きな特長です。さらに、ヴィーガンやベジタリアンなど食の多様性に対応できるほか、インバウンド観光客がお土産として持ち帰れる点も含め、輸出促進への貢献が期待されています。
実際に大阪の食品メーカーでは、海外向けのパックご飯に使用していた鶏エキスが規制対象となることが判明し、代替としてMIRA-Dashi®を採用しました。原材料表示が「香味調味料」となるため動物性素材不使用の商品として扱えるようになり、現在は8カ国への輸出が可能になり、早くも実用化が進んでいます。




会場ではMIRA-Dashi®の試飲も行われ、動物性原料を使用していないにもかかわらず、牛や貝を思わせる風味や満足感があることが紹介されました。
「MIRACORE®というのは『動物を食べた感覚』を作り出す技術です。だしを飲んでみると『なんか貝っぽい』『カツオっぽい』と感じた方もいたと思います。でも、一切そういう要素は入っていない。それなのに、なぜ人は『貝だ』とか『カツオだ』と感じるのか。そうした“感じ方”の正体を明らかにし、再現しようとしているところです」と斎藤さんは話します。
2050年には世界人口が100億人に達すると予測され、動物性食品を現在と同じ水準で消費し続けた場合、環境負荷や食料問題が深刻化すると指摘されています。そのため植物性へのシフトが求められる一方、理念だけで食生活を大きく変えることには限界があります。
「動物性のものには、味だけでなく“満足感”があります。一方で植物性食品は、『優しくていいね』と評価されることが多いものの、豚骨ラーメンのような強い満足感を得られにくい。だからこそ、こうした満足感を備えた植物性食品を作らなければ、本格的なシフトは難しいと考えています」
本能的に『おいしい』と感じてもらえる植物性食品を増やすことが、行動変容につながるという考えのもと、満足感のある植物性食品を実現する技術として、MIRA-Dashi®の可能性が示されました。
第二部 ~地域食材×ラーメンの新コンセプト「THE RAMENS」ワークショップ体験~
第二部では、大阪・関西万博でも実施された試食付きワークショップ「THE RAMENS(ザ・ラーメンズ)」を開催しました。「THE RAMENS」は、MIRA-Dashi®を用いた植物性のベーススープに地域食材を組み合わせることで、どのような食材でも「ご当地ラーメン」として成立させることがコンセプトです。

不二製油株式会社 風味基材事業部の平垣内 一子さんを講師に迎え、ワークショップがスタートしました。参加者には全7種類のラーメンセットが配布され、まずはパッケージの色やキャラクターデザインから、ラーメンスープの原材料を想像するワークが行われました。

会場からは「黄色はかぼちゃ?」「グレーはごぼうかも」「ピンクはいちご味?」といった声が上がり、参加者同士の会話が自然と生まれていました。

正解は、酒粕、棒ほうじ茶、抹茶、ゆず、梅、オリーブ、紫芋。いずれも地域色豊かな食材です。初めて目にする色合いのラーメンスープに、参加者からは驚きの声が上がりました。


ワークショップでは、7種類すべてに共通するベーススープが使用されていることが説明されました。この「万能ベーススープ」に地域食材を掛け合わせることで、素材の数だけラーメンスープのバリエーションを生み出せる構造になっています。
国内各地の食材はもちろん、海外の食品と組み合わせることで、「世界の故郷の味」を再現したラーメンが開発できる可能性も示されました。実際にアフリカ地域の納豆「スンバラ」と掛け合わせたラーメンスープを作り試食会を行ったところ、大好評だったとのことです。
「焼酎粕やビール粕、さらにはワインやシャンパンといったものもラーメンスープになり得ます」と平垣内さん。自由度の高い商品開発の可能性に、参加者の関心が集まりました。

不二製油株式会社様は、2/2-2/3開催「ZET-college」にも出展いただきます。植物性由来のスープを体験できるチャンスですので、是非ご参加ください。
ZET‑BASE KYOTO は、単なるスペースにとどまらず、共創プラットフォームとして地域の新たなドライバーを目指し、多様な共創プロジェクトを共に生み出していきたいと思います。